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目次
もとよりの意味
「もとより」とは「初めから・以前からそうであるさま、または言うまでもなく当然だと示す表現」のことです。
大きく分けると、意味は二つあります。一つは「最初から」「もともと」という意味です。たとえば「反対する気はもとよりない」は、「初めから反対するつもりはない」という意味になります。
もう一つは「もちろん」「言うまでもなく」という意味です。たとえば「健康はもとより、心の余裕も大切だ」は、「健康が大切なのは当然として、それに加えて心の余裕も大切だ」という意味です。
もとよりの漢字表記
「もとより」には、確認できる漢字表記として「元より」「固より」「素より」があります。ただし、現代の文章ではひらがなで「もとより」と書くのが一般的です。漢字で書くと古風、硬い、文語的な印象になることがあります。
| 表記 | 主なニュアンス | 現代での使われ方 |
|---|---|---|
| 元より | 「元」は始まり・根本を表すため、「初めから」「以前から」の意味に合いやすい表記です。 | やや硬い表記です。一般的な文章では「もとより」とひらがなで書くことが多いです。 |
| 固より | 「当然」「言うまでもなく」に近い文脈で見られる表記です。 | 古風で文語的な印象があります。現代では日常的にはあまり使われません。 |
| 素より | 「素」はもとの性質や根本を表します。古い文章や辞書的な表記として見られます。 | 現代の一般的な文章ではほとんど使われず、ひらがな表記が無難です。 |
用法によって漢字のなじみやすさは変わりますが、迷う場合は「もとより」とひらがなで書くと、意味の取り違えを避けやすくなります。
もとよりをわかりやすく言うと
「もとより」をわかりやすく言い換えると、「最初から」「もともと」「もちろん」「言うまでもなく」です。
時間の意味を強く出すなら「最初から」「もともと」が近く、当然であることを強く出すなら「もちろん」「言うまでもなく」が近い言い換えになります。
- 「もとより知っていた」=「最初から知っていた」「以前から知っていた」
- 「成功はもとより、過程も大切だ」=「成功が大切なのはもちろん、過程も大切だ」
- 「参加するつもりはもとよりない」=「初めから参加するつもりはない」
ただし、「もとより」は少し改まった響きがあります。日常会話では「もちろん」や「もともと」のほうが自然に聞こえる場面も多いです。
もとよりの使い方
「もとより」は、副詞として文中で使われます。文章語としての性格があり、会話よりも説明文、挨拶文、論説文、ビジネス文書などでよくなじみます。
「初めから」の意味で使う
「もとより〜ない」「もとより承知している」のように、ある状態や考えが最初から存在していたことを表します。
- もとより期待していない
- もとより覚悟している
- もとより反対するつもりはない
「もちろん」の意味で使う
「Aはもとより、Bも」の形では、「Aは当然として、さらにBも」という意味になります。Aだけでなく、Bにも話を広げるときに便利な表現です。
- 味はもとより、見た目も美しい
- 本人はもとより、家族にも説明が必要だ
- 結果はもとより、努力の過程も評価したい
文章で使うときのニュアンス
「もとより」を使うと、文がやや硬く、落ち着いた印象になります。強調の働きもあり、「それは当然として」という含みを持たせられます。一方で、くだけた会話で多用すると不自然に聞こえることがあります。
もとよりを使った例文
- その計画に反対するつもりは、もとよりありませんでした。
「初めから反対する気はなかった」という意味で使っています。 - この店は味はもとより、接客の丁寧さでも評判です。
「味がよいのは当然として、接客もよい」という広がりを表しています。 - 失敗の可能性はもとより承知のうえで、新しい方法を試しました。
最初からリスクを理解していた、という覚悟のニュアンスがあります。 - 彼女の実力はもとより、人柄にも多くの信頼が寄せられています。
能力だけでなく人柄も評価されていることを示しています。 - この規則は、もとより利用者の安全を守るために作られたものです。
「初めからその目的で」という意味で、物事の出発点を説明しています。 - 日帰りの予定なので、大きな荷物を持っていくつもりはもとよりない。
「最初からそのつもりはない」と否定を強めています。 - 作品の完成度はもとより、制作に向き合う姿勢にも心を打たれた。
当然評価される点に加え、別の点にも感動したことを表しています。
もとよりと「もちろん」の違い
「もとより」と「もちろん」は、どちらも「当然」「言うまでもなく」という意味で使えます。ただし、「もとより」には「初めから」という意味もあり、文体も「もちろん」より硬めです。
| 表現 | 中心となる意味 | 文体・使い方 |
|---|---|---|
| もとより | 初めから。もちろん。言うまでもなく。 | 文章語的でやや改まった印象。「Aはもとより、Bも」の形でよく使います。 |
| もちろん | 当然そうである。疑う必要がない。 | 会話でも文章でも広く使えます。返事として「もちろん」と単独でも使いやすい語です。 |
たとえば「行きますか」と聞かれて「もちろん」と答えるのは自然ですが、「もとより」とだけ答えると古風で大げさに聞こえることがあります。一方、「参加するつもりはもとよりない」は「最初からない」という意味が強く、「もちろんない」とは少しニュアンスが異なります。
もとよりの類語・言い換え表現
「もとより」は、文脈によって言い換える語が変わります。「初めから」の意味なのか、「当然」の意味なのかを見分けることが大切です。
| 類語・言い換え | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| もともと | 以前からそうであることを表します。日常会話では「もとより」より自然です。 |
| 初めから | 時間の出発点をはっきり示します。「もとより〜ない」の言い換えに使いやすい表現です。 |
| 以前から | 過去のある時点から今まで続いていることを表します。 |
| もちろん | 当然であることを表す、もっとも一般的な言い換えです。会話でも使いやすい語です。 |
| 言うまでもなく | 説明する必要がないほど明らかだ、という意味です。文章でよく使われます。 |
| 無論 | 「もちろん」に近い硬い表現です。改まった文章や論理的な説明に合います。 |
| 当然 | 道理から見てそうである、という判断を表します。言い方によっては強く聞こえることがあります。 |
なお、「もともと」と「もとより」は形が似ていますが、「もともと」は主に「以前から」の意味に限られます。「Aはもとより、Bも」のような形では、「もともと」に置き換えると不自然になる場合があります。
もとよりを使うときの注意点
「もとより」を使うときは、次の点に注意すると自然な文章になります。
- 日常会話では少し硬く聞こえることがある
友人同士の会話では「もちろん」「もともと」のほうが自然な場合があります。 - 「Aはもとより、Bも」は比較ではない
「AよりBが上」という意味ではなく、「Aは当然として、Bも」という意味です。 - 否定文では「初めからない」の意味になりやすい
「望みはもとよりない」は、「最初から望みがない」という強い否定になります。 - 漢字表記を無理に使わない
「元より」「固より」「素より」はありますが、現代文ではひらがなの「もとより」が読みやすく、一般的です。
また、「もとより」には意味が二つあるため、文脈によって「初めから」なのか「もちろん」なのかを判断する必要があります。はっきりした対義語はありませんが、「初めから」の意味では「あとから」「今になって」、「当然」の意味では「必ずしも」「むしろそうではない」などが反対に近い表現になります。
まとめ
「もとより」は、「初めから」「以前から」という意味と、「もちろん」「言うまでもなく」という意味を持つ言葉です。文章語的でやや改まった響きがあり、説明文やビジネス文書、論説的な文章によく合います。
特に「Aはもとより、Bも」の形では、「Aは当然として、さらにBも」という意味になります。「もちろん」と似ていますが、「もとより」には「初めから」という意味もあり、より硬い印象を持つ点が違います。
漢字では「元より」「固より」「素より」と書くことがありますが、現代ではひらがなの「もとより」が一般的です。文脈に合わせて、「もともと」「初めから」「もちろん」「言うまでもなく」などに言い換えると、意味がより伝わりやすくなります。
関連語
- もともと
- 初めから
- 以前から
- もちろん
- 言うまでもなく
- 無論
- 当然
- もとから
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