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目次
このの意味
「この」とは「話し手に近いもの、いま話題にしているもの、または現在の時点に関わるものを指し、名詞の前に置いて限定する言葉」のことです。
「この」は、「この本」「この場所」「この問題」のように、後ろに名詞を続けて使います。目の前にあるものを指すだけでなく、会話や文章の中でいま取り上げている事柄を指す場合にも使われます。
また、「この三日間」「このごろ」のように、現在を含む時間を表すこともあります。英語では多くの場合、名詞の前に置く「this」に近い働きをします。
このの漢字表記
「この」は、漢字交じりで「此の」と書かれることがあります。「此」は「これ」「ここ」など、話し手に近いものを指す意味を持つ漢字です。
ただし、現代の一般的な文章では、ほとんどの場合ひらがなの「この」と書きます。「此の」は文学的・古風な印象があり、日常会話、ビジネス文書、学校の作文などでは「この」と書くのが自然です。
| 表記 | 使われ方 | 現代での印象 |
|---|---|---|
| この | 一般的な表記。会話文、説明文、公的な文章まで広く使える。 | 自然で標準的。 |
| 此の | 古い文章や文学的な文章で見られる表記。 | やや古風・硬い印象。 |
このをわかりやすく言うと
「この」は、わかりやすく言えば「目の前の」「いま話している」「これから述べる」「現在の」に近い言葉です。
たとえば「この本」は「話し手の近くにある本」、「この問題」は「いま取り上げている問題」、「この一週間」は「今を含む一週間」という意味になります。物理的な近さだけでなく、話題としての近さや心理的な近さも表せる点が特徴です。
このの使い方
「この」は、基本的に名詞の前に置いて使います。後ろに来る名詞を限定し、「どれのことを言っているのか」をはっきりさせる働きがあります。
近くにあるものを指す使い方
話し手の近くにあるもの、手に持っているもの、目の前にあるものを指すときに使います。
- この本
- この机
- この店
- この場所
いま話題にしている事柄を指す使い方
会話や文章の中で、いま取り上げている内容を指す場合にも使います。この場合、実際に目の前にあるとは限りません。
- この問題
- この件
- この考え方
- この説明
現在を含む時間を表す使い方
「この」は、現在を中心にした時間の範囲を示すこともあります。「このごろ」「この前」「この一週間」などは、日常会話でもよく使われます。
- このごろ、朝晩が涼しい。
- この前、駅で友人に会った。
- この三日間、雨が続いている。
文章で使うときのニュアンス
文章で「この」を使うと、読者の注意を対象に引き寄せる効果があります。「この事実」「この結果」「このように」などは、前に述べた内容を受けたり、これから説明する内容を示したりするときに便利です。
ただし、同じ段落で何度も使うと、指している内容があいまいになったり、文章が単調になったりします。必要に応じて「その結果」「当該の資料」「本件」などに言い換えると、文章が整理されます。
このを使った例文
- この本を、明日まで借りてもいいですか。
話し手の近くにある本を指している使い方です。 - この道をまっすぐ進むと、右手に郵便局があります。
いまいる場所から見て近い道や、案内している道を指しています。 - この問題については、次の会議で改めて検討します。
仕事や話し合いで、いま取り上げている課題を示す使い方です。 - この三日間、ずっと風が強い。
現在を含む期間を表しています。 - この写真を見ると、当時の空気まで思い出す。
目の前にある写真を指しながら、心理的な近さも表しています。 - この考え方は、前の説明と少し違います。
文章や説明の中で、いま述べている内容を受けています。 - この資料を確認したうえで、必要な点を追記してください。
ビジネス場面で、特定の資料を指定する使い方です。 - この静かな時間が、一日の終わりをやわらかくしてくれる。
文章表現で、いま感じている時間や雰囲気を近くに引き寄せて表しています。
このと「これ」の違い
「この」と最も混同しやすい言葉は「これ」です。どちらも話し手に近いものを指しますが、文法上の使い方が違います。
「この」は名詞の前に置く言葉で、単独では使いません。一方、「これ」は名詞の代わりに使える言葉です。
| 言葉 | 働き | 自然な例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| この | 名詞の前に置いて、その名詞を限定する。 | この本が好きです。 | 「このが好きです」とは言わない。 |
| これ | ものや事柄そのものを指す。 | これが好きです。 | 「これ本」とは言わず、「この本」と言う。 |
また、「この」「その」「あの」は、距離や文脈によって使い分けます。「この」は話し手に近いもの、「その」は聞き手に近いものや前に出た内容、「あの」は話し手・聞き手の両方から離れたものや、互いに知っている過去のものを指すときに使います。
このの類語・言い換え表現
「この」は指示語なので、完全に同じ意味の類語は多くありません。ただし、文脈に応じて近い表現に言い換えることはできます。
- 目の前の
実際に近くにあることをはっきり示す言い換えです。「この箱」は「目の前の箱」と言い換えられます。 - いま述べている
文章や説明の中で、現在話題にしている内容を示す表現です。「この考え方」は「いま述べている考え方」と言えます。 - 今の
現在の状態や、直前に出た発言・状況を指すときに使います。「この状況」は「今の状況」と言い換えられます。 - こちらの
「この」より丁寧で、案内や接客、ビジネスで使いやすい表現です。「こちらの資料をご覧ください」のように使います。 - 当該
文書や説明で、すでに示した特定のものを指す硬い表現です。「この案件」を「当該案件」と言い換えることがあります。 - 本
「本件」「本資料」「本サービス」のように、文章やビジネス文書で「この」に近い意味を表します。硬く改まった印象になります。 - その
話し手から少し離れたもの、聞き手側のもの、または前に述べた内容を指します。「この」よりも話し手の近さは弱くなります。 - あの
話し手・聞き手のどちらからも離れたものや、過去に共有しているものを指します。「この」より距離感や回想のニュアンスがあります。
なお、「この」には、はっきりした一語の対義語はありません。ただし、距離や文脈の上で対になる言葉としては「その」「あの」があります。
このを使うときの注意点
「この」は身近な言葉ですが、使い方を誤ると不自然な文になります。特に、後ろに名詞が必要である点に注意が必要です。
- 「この」だけで名詞の代わりにはならない
「このをください」は不自然です。名詞を続けて「この本をください」と言うか、名詞の代わりに「これをください」と言います。 - 何を指すのかがあいまいになりやすい
文章中に候補が複数あると、「この問題」「この点」が何を指すのかわかりにくくなります。必要に応じて「費用の問題」「手続き上の点」のように具体化します。 - 使いすぎると文章が単調になる
「この結果」「この方法」「この場合」が続くと、読みにくくなります。「その結果」「当該の方法」「このような場合」など、文脈に合わせて言い換えると自然です。 - 人を指すときは場面に注意する
「この人」は中立的に使えますが、場面によっては少し距離のある言い方に聞こえることがあります。丁寧に言いたい場合は「こちらの方」「こちらの担当者」などが適しています。 - 強い感情をこめる使い方は乱暴に聞こえることがある
「このばか」「この野郎」のような言い方は、非難や怒りを表す強い表現です。日常の丁寧な会話や文章では避けるのが無難です。 - 漢字表記「此の」は現代文では古風に見える
特別な文体上の意図がない場合は、「此の資料」「此の人」ではなく「この資料」「この人」と書く方が自然です。
まとめ
「この」は、話し手に近いもの、いま話題にしているもの、現在を含む時間などを指し、名詞の前に置いて使う言葉です。「この本」「この問題」「この三日間」のように、後ろの名詞を限定する働きがあります。
似た言葉の「これ」は名詞の代わりに使う語で、「この」は名詞の前に置く語です。「この本」は自然ですが、「このをください」は不自然で、その場合は「これをください」と言います。
文章では、対象を読者の目の前に示すような近さや具体性を出せます。ただし、指す内容があいまいにならないようにし、必要に応じて「こちらの」「当該」「本件」「今の」などに言い換えるとよいでしょう。
関連語
- これ
- その
- あの
- どの
- こちら
- 当該
- 本件
- 指示語
- 連体詞
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