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目次
踏襲の意味
「踏襲(とうしゅう)」とは「それまで行われてきた方針・方法・形式などを受け継ぎ、そのまま、または大きく変えずに行うこと」を意味する言葉です。
たとえば、会社で以前から使っている会議の進め方を今年も変えずに使う場合、「従来の方法を踏襲する」と表現できます。過去のやり方を単に知っているだけでなく、それを引き継いで実際に用いる点が特徴です。
「踏襲」は、ビジネス文書、行政文書、評論、説明文などでよく使われる、やや改まった表現です。日常会話でも使えますが、くだけた場面では「前と同じやり方にする」「これまでの方法を引き継ぐ」と言い換えるほうが自然なこともあります。
踏襲の読み方
「踏襲」は「とうしゅう」と読みます。
「踏」は「踏む」、「襲」は「受け継ぐ」「引き継ぐ」という意味を持つ漢字です。ここでの「襲」は「襲う」という意味ではなく、「あとを受ける」「前のものを引き継ぐ」という意味で使われています。
読み間違いとして「ふしゅう」「とうしょう」などと読まれることがありますが、一般的な読み方は「とうしゅう」です。文章で使う場合だけでなく、会議や発表で口に出すときにも注意するとよいでしょう。
踏襲をわかりやすく言うと
「踏襲」をわかりやすく言うと、「これまでのやり方をそのまま引き継ぐこと」「前例にならって同じように行うこと」です。
ただし、「完全に一字一句同じにする」という意味だけではありません。大きな方向性や基本の形を変えず、必要な部分だけ少し調整する場合にも使われます。
- 前年の形式を踏襲する:前年と同じ基本の形で作る
- 従来の方針を踏襲する:これまでの考え方や進め方を続ける
- 先代の作風を踏襲する:前の世代の特徴を受け継いで表現する
文章で使うと、「単にまねる」よりも落ち着いた表現になり、「前例や伝統を尊重している」というニュアンスが出ます。一方で、文脈によっては「新しさに欠ける」「従来どおりである」という意味合いを含むこともあります。
踏襲の使い方
「踏襲」は、主に「何を踏襲するのか」を目的語にして使います。対象になるのは、方針、方法、形式、制度、路線、作風、デザイン、前例などです。
- 方針を踏襲する
- 従来の方法を踏襲する
- 前年の形式を踏襲する
- 前例を踏襲する
- 基本路線を踏襲する
- 伝統的な作風を踏襲する
「踏襲する」は、仕事や公的な文章で特に使いやすい表現です。たとえば、報告書の書式、企画書の構成、社内ルール、政策の方向性など、すでにある形を引き継ぐ場面に向いています。
会話で使う場合は、「今年の資料は去年の形を踏襲して作ります」のように言えます。ただし、少し硬い印象があるため、相手や場面によっては「去年と同じ形で作ります」と言い換えると自然です。
踏襲を使った例文
- 今年の報告書は、昨年の構成を踏襲して作成した。
文章や資料の形式を大きく変えず、前年の形を引き継いだことを表しています。 - 新しい社長は、前任者の経営方針をおおむね踏襲する考えを示した。
人ではなく、その人が取っていた方針や方向性を引き継ぐ場合の使い方です。 - この店の内装は、創業当時の雰囲気を踏襲している。
昔からの特徴や印象を残しながら、現在にも受け継いでいるニュアンスがあります。 - 会議の進行方法は、従来のやり方を踏襲すれば問題ないだろう。
特別に変える必要がなく、これまで通りの方法で進める場面に使えます。 - 新モデルのデザインは、旧モデルの丸みのある形を踏襲している。
製品や作品の特徴を受け継いでいることを説明する例です。 - この小説は古典的な物語の型を踏襲しながら、現代的な題材を取り入れている。
基本の形式を受け継ぎつつ、新しい要素を加える場合にも使えます。 - 今回の式典では、地域に伝わる手順を踏襲することになった。
伝統や慣習を尊重し、以前からの流れに沿って行う意味合いがあります。 - 前回の成功例を踏襲するだけでは、今回の課題に十分対応できないかもしれない。
踏襲が必ずしも最善とは限らない、という批判的な文脈でも使えます。
踏襲と継承の違い
「踏襲」と混同されやすい言葉に「継承」があります。どちらも「受け継ぐ」という意味を含みますが、注目している対象が少し違います。
「踏襲」は、主に「やり方」「方針」「形式」などを前と同じように続けることに重点があります。一方、「継承」は、地位、権利、財産、技術、文化、精神などを受け継ぐことに広く使われます。
| 言葉 | 中心となる意味 | 使いやすい対象 |
|---|---|---|
| 踏襲 | これまでの方法や形式を引き続き用いる | 方針、方法、形式、前例、作風、路線 |
| 継承 | 前の人や世代から受け継ぐ | 地位、権利、技術、文化、財産、精神 |
たとえば、「伝統技術を継承する」は自然ですが、「伝統技術を踏襲する」とすると、技術そのものを受け継ぐというより、その技法や作り方を従来どおりに行うという響きになります。
また、「父の会社を継承する」は言えますが、「父の会社を踏襲する」は不自然です。この場合は、会社そのものではなく「父の経営方針を踏襲する」と言えば自然になります。
踏襲の類語・言い換え表現
「踏襲」は文脈によって、いくつかの言葉に言い換えられます。ただし、言い換えるとニュアンスが変わる場合があるため、対象に合わせて選ぶことが大切です。
| 類語・言い換え | 意味・ニュアンス | 例 |
|---|---|---|
| 引き継ぐ | 前の人や状態から受け取って続ける。日常的で使いやすい表現。 | 前任者の仕事を引き継ぐ |
| 受け継ぐ | 性質、考え方、伝統などを後の人が持ち続ける。 | 家の伝統を受け継ぐ |
| 継承する | 文化、技術、権利、地位などを正式に受け継ぐ硬めの表現。 | 技術を継承する |
| 前例にならう | 以前の例を参考にして同じように行う。踏襲に近いが、やや説明的。 | 前例にならって進める |
| 従来どおりにする | これまでと同じにするという意味で、会話でも分かりやすい。 | 手順は従来どおりにする |
| 踏まえる | ある事柄を前提や参考にする。必ずしも同じ方法を続けるとは限らない。 | 前回の反省を踏まえる |
特に「踏まえる」は「踏襲」と形が似ていますが、意味は異なります。「前例を踏まえる」は前例を参考にすること、「前例を踏襲する」は前例と同じように行うことです。参考にしたうえで変える可能性があるなら「踏まえる」のほうが適しています。
踏襲を使うときの注意点
「踏襲」は便利な言葉ですが、使う対象や文脈を間違えると不自然になります。特に次の点に注意が必要です。
人そのものではなく、方法や方針に使う
「前任者を踏襲する」「先輩を踏襲する」のように、人そのものを目的語にすると不自然です。この場合は、「前任者の方針を踏襲する」「先輩のやり方を踏襲する」と表現します。
単なる参考とは違う
「踏襲」は、参考にするだけでなく、実際にそのやり方を引き続き用いる意味を含みます。過去の事例を参考にしつつ、新しい方法に変える場合は「踏まえる」「参考にする」のほうが合います。
文脈によっては保守的な印象になる
「従来の方法を踏襲する」は、安定感や一貫性を示す表現として使えます。一方で、変化が求められる場面では「新しい工夫がない」「前例に頼っている」という批判的な響きを持つこともあります。
対義語は文脈によって変わる
「踏襲」には、常に一語で対応するはっきりした対義語はありません。反対に近い言葉としては、「変更する」「刷新する」「改める」「独自に作る」「一新する」などがあります。
たとえば、従来の方針を続けるなら「方針を踏襲する」、従来の方針を大きく変えるなら「方針を刷新する」「方針を改める」と表現できます。
まとめ
「踏襲(とうしゅう)」は、これまで行われてきた方針、方法、形式、前例などを受け継ぎ、大きく変えずに続けることを表す言葉です。
わかりやすく言えば、「前と同じやり方を引き継ぐこと」「前例にならって行うこと」です。ビジネス文書や説明文では、「従来の方針を踏襲する」「前年の形式を踏襲する」「前例を踏襲する」のように使われます。
似た言葉の「継承」は、文化、技術、権利、地位などを受け継ぐ意味が中心です。一方、「踏襲」は方法や形式をそのまま使う点に重点があります。また、「踏まえる」は参考にする意味であり、同じように続けるとは限りません。
使うときは、人そのものではなく「人の方針」「人のやり方」などを対象にすると自然です。硬めの表現なので、日常会話では「これまで通りにする」「前のやり方を引き継ぐ」と言い換えることもできます。
関連語
- 継承
- 引き継ぐ
- 受け継ぐ
- 前例
- 慣例
- 従来
- 踏まえる
- 刷新
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